会社を設立するタイミング
1 所得金額から会社設立を考えるタイミング
会社設立のタイミングを検討する大きな理由のひとつに、個人事業主と法人では、会社の利益である所得にかかってくる税率が異なってくることが挙げられます。
個人事業主は、1月1日から12月31日に得た所得の金額に対して税率が決まり、所得税を納める必要があります。
個人事業主の場合の所得税の税率は最高45%、住民税も合わせると55%となります。
一方、中小法人の場合の法人税の税率は、所得金額800万円までであれば15%、800万円を超える部分には23.2%となります。
法人住民税と法人事業税を含めても30%を超える程度です。
このように、所得税は所得が増えれば増えるほど税率が高くなる超過累進税率が適用されるのに対し、法人税は原則として比例税率が適用されるので、所得が大きくなったときが、法人設立のタイミングといえます。
具体的には、税率だけで考えると、900万円の所得があれば、法人設立のタイミングといえるのではないかと思います。
2 消費税の観点から会社設立を考えるタイミング
課税売上高が1000万円を超えると、その2年後から消費税が課税されます。
そのため、個人事業主の方の課税売上高が1000万円を超えた場合は、その2年後に会社設立をすることをおすすめします。
個人と法人は別人格として捉えられますので、法人成りすれば、法人の2年前の課税売上高は存在しないということになるからです。
ただし、法人成り後に2年間免税事業者となる条件は、資本金が1000万円未満であること等の複数の条件がありますので、消費税を目的に法人成りを考えている方は、税理士に相談することをおすすめします。
なお、令和5年10月1日からインボイス制度が導入されるため、免税事業者になることができるものの、取引先との関係で課税事業者にならざるを得ない場合も出てくる可能性はあります。
3 会社設立をすることにより社会的信用が生じる可能性も
規模の大きな会社ほど個人事業主ではなく、会社と取引する傾向にあります。
そのような意味で、法人成りすると社会的信用が生まれ、新規の顧客を開拓できる可能性が高まるといった効果もあるかと思います。
会社であれば、法務局で登記簿を確認することで、会社の基本情報を確認することができますし、設立の費用やランニングコストもかかるため、事業に対する信用力が生まれると考える方もいらっしゃるかもしれません。
所得や消費税など、税の観点から会社設立を検討するタイミングについてご説明をしてきましたが、会社設立をお考えの方は、一度税理士に相談してみることをおすすめします。
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