相続税の申告期限は延長できますか?
1 原則として、申告期限の延長は困難
相続税の申告は、被相続人(亡くなった人のこと)が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
ただし、その期限が土日祝日や年末年始(12月29日から1月3日)に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります
例えば、令和6年4月15日に父親を亡くし、父親が亡くなったことをその日に知った子は、令和7年2月15日が本来申告期限になりますが、令和7年2月15日は土曜日ですので、令和7年2月17日の月曜日が申告期限になります。
そして、この期限は原則として、延長が認められません。
遺産の内容について調査が必要、相続人を探すのに時間がかかるなどの理由では、延長が認められることは困難です。
また、期限経過後には、相続税制度上認められている様々な特例を受けることができなくなってしまいます。
2 例外として認められる場合①(3年以内の分割見込書の提出)
相続税申告期限である、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告手続きが間に合わない場合に、申告の際に遺産分割が終わっていない理由や相続税申告について適用を受けたい特例等を記載した「3年以内の分割見込書」を仮に法定相続分で分割したとの申告書を提出することで延長が可能になる場合があります。
その場合、3年以内に遺産分割が行われれば、特例の適用を受けることができ、多く払いすぎた分の還付を受けることができる場合があります。
ただし、還付を受けるには分割が行われた日の翌日から4か月以内に「更生の請求」を行うことが必要となります。
「更生の請求」とは、既に行った申告について、税額等が過大であった場合に減額更生を求める手続きのことです。
3 例外として認められる場合②(3年経過後の承認申請)
相続税の申告期限の翌日から3年が経過する日において一定のやむを得ない事情(相続に関する事項について訴訟が提起されていたなど)がある場合には、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過するまでの間に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を所轄税務署長宛に提出し、その承認を受けることで、期限後であっても特例を受けることができます。
ただし、特例を受けるためには、承認を受けた後、判決の確定など相続財産の分割ができることとなった日の翌日から4か月以内に遺産分割を行い、かつ、分割が行われた日の翌日から4か月以内までに更生の請求を行う必要があります。
4 その他相続税申告の期間については世情に合わせて追加される
相続税の申告・納税等の手続に関しては複雑かつ難解で、申告のための調査や申告に必要な資料集め、申告書作成などどれも時間と手間がかかるものです。
そのため、非日常的な事情が生じた際に対応できない人が増加する場合、国税庁はそうした事情に配慮し、一定の事情が認められる者に対して申告・納税等の期限延長が行われる場合があります。
そのため、自分の身に大きな災害が降りかかったために申告期限が守ることが難しいと感じた場合は、国税庁のホームページをご確認いただき、自分の事情が当てはまらないかについて、調べてみるとよいでしょう。
また、申告期限が迫っていて自分では対処が難しい、自分でやると失敗してしまうと不安な方は専門家にご相談するべきです。
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